| はじめに |
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北海道北東部はN-S性の網走構造線(Kimura,1981)を境に中央北海道と東北海道に分かれる。これらの地域の地史は中央北海道の日高変成帯の上昇運動を伴う複雑な過程を経た。そのため網走構造線の東側と西側で異なった層序や火山活動が認められる。この二つの東西両地域は中期中新生初期の汎世界的な海進時に隆起域を形成する。それぞれの地域を比較すると、まず、15.5〜11.5Maにはたとえば中央北海道東部の紋別地域は南北に狭長な海域を形成するが、次第に堆積域は北方に移動し、オホーツク海側に退く。11.5Maには全域的な隆起運動が進み、N-S方向の紋別-上士幌地溝帯の形成と引き続く火山活動が進行した。火山活動域は順次北から南へ移動し、鮮新世には
上士幌周辺に広がった。また、金銀の鉱化作用も11.5Ma以降の火山活動に密接に関係し、鉱化作用の年代も南側で若く上士幌町勢多地域恵は更新世を示す。(八幡・西戸、1990;八幡・久保田ほか、1994)
一方、東北海道北部の網走地域でも、13.5Ma頃に浅海域が形成し、11.5〜10.0Maにかけて浅海域での火山活動が認められる(八幡ほか、投稿中)・その後、堆積盆地は深海化し、鮮新世末まで海域が広がっていた。(第1図)。
今回の見学会では中央北海道東部の火山岩類の産状とこれらの火成活動に伴う温泉型金鉱床を見学する。 |
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| 中央北海道東部の火山活動と金鉱化作用 |
| 1.概説 |
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中央北海道東部(北見火成活動区;八幡・岡村、1992)には15.5〜11.5MaにN-S性の海成堆積盆地が形成し、浅海成のタービダイト砂岩・礫岩(上支湧別層)や珪質頁岩・安山岩質ハイアロクラスタイト(鴻之舞層)などが堆積した。
その後、11.5Ma頃の広域的な隆起運動と引き続く紋別-上士幌地溝帯の形成・火山活動により地溝帯内には主に陸成の火山噴出物と湖沼性堆積物が厚く堆積した。地溝帯北部の紋別-遠軽地域では中〜上部中新統(藻別層・留岡層・社名淵層)が堆積し、地溝帯南部の瑠辺蘂ー上士幌地域では上部中新統-鮮新統(ホロカピリベツ川層など)および更新統(足寄層)などが堆積した。(第2図) |
| 2.火山活動のステージ区分と岩石学的性質 |
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火山活動は4つのステージに区分され、各ステージの特徴は次のとおりである。(国分ほか、印刷中)
第1ステージ(13.5〜11.5Ma): 浅海成〜陸成の安山岩〜石英安山岩質の火山噴出物よりなる。 Miyashiro(1974)のソレアイト系列(TH)とカルクアルカリ系列(CA)の二つの異なるグループよりなる。THに属する火山岩はFeO/MgO比が高く、アイスランダイトに類似する。(第3図)
第2ステージ(11.5〜8.0Ma) : 陸成の流紋岩〜石英安山岩と玄武岩のバイモーダルな溶岩・火成岩よりなる。CAが主体をなす。
第3ステージ(8.0〜6.0Ma) : 陸成の流紋岩〜石英安山岩と少量の玄武岩のバイモーダルな溶岩・火砕岩よりなり、安山岩質火山噴出物を伴う。SiO2の増加に伴い、CAとTHの二つの組成トレンドに別れる。 第4ステージ(6.0〜2.0Ma) : 陸成の溶岩・火砕岩よりなり、流紋岩・安山岩・玄武岩の幅広い組成範囲を示す。SiO2の増加に伴いTHの組成トレンドと、THのCAの中間〜CAの組成トレンドが認められる。 |
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| 3.金鉱床の分布と形成年代 |
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地溝帯内の火山活動域は、11.5Maから2Maにかけて順次北から南へ移動し、これらの火山活動に伴う活発な熱水活動は金銀の鉱化作用をもたらした(八幡・西戸、1990)。地溝帯北部の紋別から留辺蘂および置戸にかけての一帯には産金量73tの鴻之舞鉱山をはじめ多数の金鉱床が分布する(第4図)野に対し、南部の十勝地方では金銀の鉱徴地は知られていなかったが、近年勢多地域で金銀鉱化作用が認められた(八幡ほか、1992)。
地溝帯やその周辺における金鉱化帯について、特に重要なのは、次の3点である。(1)金鉱化作用の形成年代は約13Maから0.3Maで、母岩の火山岩類の年代とほぼ一致する。(2)金鉱化年代は北から南へと時代とともに移動することと調和的である。(3)勢多鉱床や北ノ王鉱床で特徴的に見られるように、多くの金鉱床は古地表面付近で形成した温泉型金鉱床である(八幡・西戸、1990;八幡・久保田ほか、1994) |
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紋別-遠軽地域の第三系 |
| 本地域には白亜系の日高累層群と古第三系〜新第三系の花崗岩類を不整合に中〜上部中新統が広く覆っている(第5、6図)。中〜上部中新統は下位から海成堆積岩類よりなる鴻之舞層、陸成の火山噴出物および湖沼性堆積岩類よりなる藻別層・留岡層・社名淵層に区分される(八幡ほか、1988)。各層は互いに不整合関係にある。貫入岩類は玄武岩・安山岩・石英安山岩・流紋岩よりなる。 |
| 1.花崗岩類 |
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丸瀬布付近の白亜系中に貫入し、ほぼE-W方向の細長い迸入形態を示す小規模な岩体よりなる。花崗閃緑岩・花崗ひん岩・花崗斑岩・石英ひん岩などからなり、岩相変化に富む。花崗閃緑岩は斜長石が斑状組織を呈し、他に角閃石・石英斑晶鉱物よりなり、少量の黒雲母・不透明鉱物を含有する各斑晶鉱物はアルバイト-セリサイト-緑泥石-方解石などに交代されていることが多い。
花崗岩類の貫入時代は白亜紀末期以降、鴻之舞層堆積以前である。 |
| 2.鴻之舞層 |
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鴻之舞層は下部層・上部層に区分され、ともに海成化石を産することから、本地域における新生代最初の海成層である。
〔下部層〕頁岩層を主とし、基底部に砂岩礫岩を伴う。頁岩層は一般に黒色〜暗灰色塊状を呈し、層理面の発達が乏しい。旧鴻之舞鉱山付近の藻鼈川河床およびその周辺の支流では鉱化変質作用を受けやや硬質になっている部分が多く、ブロック状に割れることが多い。また、凝灰岩の薄層を介在したりラミナが認められることがある。全層厚は100〜470m。
〔上部層〕上部層の主体は泥岩・頁岩・砂岩・凝灰岩の互層より構成され、多数の火山噴出物を介在する。層厚は70〜480mである。火山噴出物(K1〜K2)のうちK4とK5は複輝石安山岩質または角閃石含有輝石安山岩質である。上部層が白亜系を直接不整合におおう地区ではその基底に礫岩砂岩泥石凝灰岩(層厚30〜75m)を伴う。
〔産出化石および時代〕 下部層および上部層から11〜13Maの生存期間を示すとされる Cyrtocapsella japonica)
Jahnson&Wick,1982)などの放散虫化石を産出する。下部層基底部からSalix
sp,.Taxoclium spを また、上部層から Fagus antipofi,Glyptostrobus , Metasequoia
occidentalis,Zelkovaungeri,Castanea miomollissi,a などの植物化石を産する(鈴木、1967;八幡ほか、1988)。大型動物化石は
Macoma sp Teredo sp Chlamys cfr,swiftii Portlandia sp Natica? sp Dentalium
sp Jucina acutilineata Propeamussium sp Periploma sp などを産出する(竹内、1942;通産省、1968)。その他、小魚の歯の化石や魚鱗化石が認められる。
本層の安山岩のK-Ar年代は 12.8、11.4Ma(八幡・西戸、1989)、凝灰角礫岩のF.T年代は 13.8Ma(輿水・金、1986)である。 |


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3.藻別層 |
本層は流紋岩溶岩・石英安山岩溶岩・酸性火砕岩類および玄武岩溶岩よりなる。下位の鴻之舞層とは大規模な不整合関係にある。この不整合を境に堆積環境が海域から陸域へ急変したことは、本地域における中期中新世の構造史を考える上で最も重要な事実である。
本層は上藻別流紋岩溶岩部層・富美石英安山岩部層・シブノツナイ火砕岩部層・上古丹四号川礫岩部層・白樺峠火砕岩部層および弘道玄武岩に区分される。
〔上モベツ流紋岩溶岩部層〕 黒曜石・真珠岩・流紋岩の溶岩よりなる。黒曜石・真珠岩は斑状構造を呈し、石英・斜長石・黒雲母の各斑晶よりなり、稀に赤褐色角閃岩やアノーソクレースが認められる。これら黒曜石溶岩の上位には変質した球顆流紋岩や塊状の流紋岩が重なる。溶岩類は全層厚350mに達する。基底部に層厚3m前後の礫岩層を伴う。
〔富美石英安山岩部層〕 石英安山岩溶岩と同質の火山角礫岩・凝灰角礫岩よりなる。石英安山岩は斑状構造を呈し、石英・斜長石・単斜輝石・斜方輝石の各斑晶鉱物を主とし、稀に黒雲母を産する。石基は一般にガラス質で斜長石と輝石を少量含有する。また、斑晶として部分的に緑色角閃石・斜方輝石・単斜輝石・斜長石より構成され、また、石基に緑色角閃石を含有する。層厚は120m以上。
〔シブノツナイ火砕岩部層〕 主に流紋岩質〜石英安山岩質軽石凝灰岩・粗粒凝灰岩よりなる。一般に塊状で淡緑色を呈し、やや粘土化変質を受けている。層厚は150m以上。
〔上古丹四号川礫岩部層〕 細〜大礫岩層を主として、部分的に粗粒砂岩層・細礫岩層を介在する。礫は白亜系から由来した砂岩・泥岩を主とし、いずれも円礫よりなる。淘汰は不良で、層理は認められない。層厚は最大50〜60mである。
〔白樺峠火砕岩部層〕 石英安山岩、一部流紋岩質溶結凝灰岩および軽石凝灰岩よりなり、一部砂岩・シルト岩を介在する。層厚は60〜130m。
〔産出化石および時代〕 シブノツナイ火砕岩部層上部の凝灰質砂岩・シルト岩には破片状の植物化石が産する。本層の流紋岩と玄武岩のK-Ar年d内はそれぞれ11.8、11.0Ma(八幡・西戸、1989)、流紋岩のF.T年代は12.0Ma(輿水・金、1987)である。 |

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4.留岡層 |
下位より玄武岩質火砕岩層・泥岩層・玄武岩質火砕岩層よりなる。
玄武岩質火砕岩層では火山角礫岩・凝灰角礫岩・火山礫凝灰岩・粗〜細粒状凝灰岩よりなる。溶岩は塊状部が多いが、一部では自破砕状を呈するか、または、長径20〜50センチ大のピローを含む。これらの溶岩は変質し、赤褐色を呈することが多く、多孔質である。塊状部および自破砕状部では一部弱い流理構造が認められるところがある。玄武岩はかんらん石斑晶に富み、石基はインターサータル組織を呈し、かんらん
石・単斜輝石・斜長石・不透明鉱物からなる。火山角礫岩・凝灰角礫岩は塊状を呈し、主として径1〜10センチの玄武岩の角礫より構成され、基質は玄武岩質火山ガラス細片よりなる。火山礫凝灰岩は凝灰角礫岩中に頻繁に介在されるほか、留岡層中にも最も多い岩相である。火山礫は玄武岩を主とし、スコリアを多く含有する。凝灰角礫岩と同様にハイアロクラスタイトの部分とエピクラスタイトの部分とが認められる。層厚は580m以上。
〔時代〕 玄武岩のK-Ar年代は8.7Ma(八幡・西戸、1989) |
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5.社名淵層 |
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本層は下部層・中部層・上部層に細分される。
〔下部層〕 下部層はその主体をなす朝日の沢川砂岩礫岩層とこれに介在されるフミ川泥岩からなり、主に水中(湖沼)で堆積した堆積物である。朝日の沢川砂岩礫岩層は、円磨度の良い細〜中礫岩と粗〜中粒砂岩層よりなる。フミ川泥岩はシルト岩と砂岩の細互層、泥岩およびシルト岩、シルト岩と砂岩の細互層などからなり、多数の植物化石を産する。朝日の沢川砂岩礫岩の最大層厚はフミ川泥岩を含めて200m。
〔中部層〕 酸性の火砕岩層(手ぬぐい山火砕岩・上フミ火砕岩・若松火砕岩)を主体と史、これに玄武岩質火砕岩(隠沢玄武岩)・安山岩質火砕岩(栄野安山岩)を介在する。これらの火砕岩類は浅い水域で堆積した部分と島状の陸域で堆積した部分とがある。
手ぬぐい山火砕岩は無斑晶質真珠岩溶岩と同質凝灰角礫岩・火山礫凝灰岩・粗〜細粒凝灰岩よりなる。手ぬぐい山付近では藻別層の富美石英安山岩部そうを本層基底部の礫岩層(層厚2m+)が不整合におおう。層厚は最大で150m。
上富美火砕岩は複輝石石英安山岩質凝灰角礫岩・火山角礫岩・軽石凝灰角礫岩よりなる。層厚は最大で80m。
若松火砕岩は流紋岩、一部石英安山岩質軽石凝灰岩・粗〜細粒凝灰岩を主とし、流紋岩溶岩・凝灰角礫岩を介在する。流紋岩は斑晶として斜長石と両輝石を含有する。本層基底部のうち鴻之舞層を直接不整合におおう瀬戸瀬付近には礫岩・砂岩が分布する。層厚は50〜160m。
〔上部層〕 上部層は谷本川火砕岩・南ノ沢玄武岩・千代田玄武岩・三沢川流紋岩・二林班川玄武岩・背谷牛山安山岩からなり、主に陸域で噴火・堆積した火山岩類より構成される。
谷本川火砕ガンは石英安山岩質火砕岩類よりなる。火砕岩類は凝灰角礫岩・火山角礫岩・火山礫凝灰岩・溶結凝灰岩より厚生され、主体をなす凝灰角礫岩は径1〜6センチの各種火山岩片より構成され、基質は火山ガラスが溶脱し、多孔質な岩相を呈し、斜長石・石英・黒雲母を有する溶結凝灰岩は凝灰角礫岩の基底部に分布し、その層厚は5〜10mである。本質レンズはガラス質で、少量の斜長石を含有する。全層厚は150m。
南ノ沢玄武岩と千代田玄武岩および二林班川玄武岩は、玄武岩の塊状溶岩を主とし、単斜輝石-かんら石玄武岩やかんらん石玄武岩よりなる。層厚は60-70m。
隠沢玄武岩は玄武岩溶岩と火砕岩類より構成される。玄武岩溶岩は柱状節理が発達し、部分的に塊状を呈する。かんらん石と斜長石斑晶の多い斑状組織を呈し、少量の破片状の石英を含有する。他に、単斜輝石・斜方輝石斑晶を含む。石基は斜長石・単斜輝石・斜方輝石・不透明鉱物とガラスよりなる。火砕岩は径1〜5センチ(最大10センチ)の玄武岩岩片を主とし、基質にスコリアおよびスコリア質凝灰岩が充填している。玄武岩岩片は多孔質で、一部に径30〜50センチ大のピローブレッチャーを含有し、ハイアロクラスタイトと認定されるところがある。また、降下スコリア層や火山弾を多数含有する集塊岩も見られる。層厚は60〜70m。
栄野安山岩は安山岩溶岩と火山礫凝灰岩よりなる。安山岩はハイアロピロティック組織を呈し、斜長石・単斜輝石・斜方輝石および不透明鉱物の斑晶を有する。石基は褐色ガラスに富み、斜長石・単斜輝石・斜方輝石・不透明鉱物よりなる。
三沢川流紋岩は流理の発達した流紋岩溶岩で、少量の斜長石・石英を含有する。層厚は80m。
背谷牛安山岩は安山岩溶岩を主とし、溶岩は塊状部、平板状節理の発達した部分、自破砕状部(一部火山角礫岩)などからなる。ピロタキシティック組織を呈し、斑晶鉱物は斜長石・単斜輝石・斜方輝石よりなる。石基は斜長石のラスが流理方向に配列し、ガラス中に微粒な不透明鉱物とマイクロライトが散点する。層厚は100m以上。 |
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・・・〜中略〜・・・ |
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鴻之舞 ; 鴻之舞層の頁岩
ここは鴻之舞層の模式地である。鴻之舞層下部層は黒色頁岩〜硬質頁岩よりなり、塊状の層相が特徴である。Cyrtocapsella
japonicaなどの11〜13Maを示す放散虫化石(Johnson&Wic、1982)やChlamys
cf dwiftll,Macoma spなど浅海を示す貝化石を産する。また、基底部からはFagusantipofi,Metasequia
accidentalisなどを産する。
上藻別 ; 鴻之舞層の火山岩
ここでは鴻之舞層のソレアイト質安山岩溶岩が観察される。鴻之舞層は浅い海域の堆積物であるが、河床では安山岩質自破砕状溶岩が、また、道路沿いでは水底で堆積した安山岩質火山礫凝灰岩から自破砕状溶岩を経て塊状溶岩に移り変わる様子が認められる。(第14図)。塊状溶岩のK-Ar年代は12.8Maである。火山礫凝灰岩の上部には鴻之舞層由来の泥岩のブロックを多数含み下位層の削りこみが見られる。自破砕状溶岩および塊状溶岩は水冷破砕を受けている部分が少ないことから、海面付近の噴出・堆積作用が考えられる。
安山岩は斜長石と輝石が集斑晶をなす複輝石安山岩である。石基は新鮮なガラスが多く、斜長石のラスとマイクロライトおよび微粒の不透明鉱物が認められる。
上モベツ川林道 ; 鴻之舞層と藻別層の不整合と藻別層の黒曜石
ここでは鴻之舞層上部層を藻別層が不整合におおう露頭が見られる(第15図)。安山岩質凝灰岩や砂岩・泥岩からなる鴻之舞層上部層の上位に、不規則な不整合面を境に藻別そうの基底礫岩と流紋岩質凝灰岩および溶岩が重なる。不整合関係はこの露頭の状況と全体の地質分布から明らかである。
また、不整合露頭の北側には藻別層の黒曜石が観察される。黒曜石は斑晶鉱物として石英・斜長石・黒雲母を含有し、まれに角閃石やアノーソクレースを伴う。なお、斑晶の量比は場所により変化が著しい。
藻別層の産状から陸域での火山活動が推定される。藻別層の堆積域は鴻之舞構造帯の東側にほぼN-S性に延び、堆積域の東西の縁に溶岩が分布し、その谷間を火山噴出物や湖沼性堆積物が埋積した。
瀬戸瀬 ; 社名淵層基底の不整合と安山岩溶岩の産状
ここでは鴻之舞層を不整合におおう社名淵層が観察される。とくに不整合の状況と湖沼性堆積物中に安山岩溶岩が流出した状況が観察される。
橋の下では鴻之舞層の安山岩質ハイアロクラスタイトの上位に社名淵層基底の中〜大礫岩(亜角〜角礫)と凝灰質砂岩・粗粒凝灰岩が重なり、さらに上位にラミナの発達した細礫岩(円礫)・粗粒砂岩が重なる。(第16図)。
橋の北側の崖では社名淵層の若松火砕岩の上位に安山岩溶岩(栄野)が重なるのが観察される(第17図)。若松火砕岩は石英安山岩質火山礫凝灰岩や細〜粗粒凝灰岩を主とし、ラミナの発達などから湖水中で堆積したと考えられる。
この上位に重なる安山岩は柱状節理の発達した溶岩である。基底部には層厚5〜20センチの黒色急冷ガラスが認められる。このことは湖水中に堆積した粗粒凝灰岩の堆積上面がほとんど湖水中になく、乾陸化したところに安山岩溶岩が流出したことを示している。すなわち急冷ガラス層は凝灰岩中の間隙水との反応によるものと考えられる。
一方、溶岩中には安山岩の急冷角礫岩が層厚1.5mで幅約30mにわたり認められる。すなわち、ハイアロクラスタイトである。これは溶岩のうち下部の柱状節理の大きい溶岩流が流出後、次の上部の小さい柱状節理を持つ溶岩流が流出する直前に、下部の溶岩の上面に水域が形成し、そこに上部の溶岩が流出したものと考えられる。
これらのことは社名淵層を堆積させた湖沼の水深が極めて浅く、そして変化が激しいことを示している。
栄野安山岩の安山岩溶岩はハイアロピリティック組織を示し、斑晶鉱物として斜長石・単斜輝石・斜方輝石・不透明鉱物を含む。石基は褐色ガラスに富み、斜長石・単斜輝石・斜方輝石・不透明鉱物よりなる。
隠沢 ; 社名淵層の玄武岩
道路の切り割りでは7.3Maの社名淵層の玄武岩が観察される。水冷破砕を受けた溶岩の上位に、塊状溶岩が重なる。この露頭の周辺では陸成の火山角礫岩や降下スコリアを伴っている。これらのことは浅い湖沼中や部分的に発達した陸域に玄武岩が噴出したことを示している。
玄武岩はかんらん石と斜長石斑晶の多い斑状組織を呈し、少量の破片状の石英を含有する。他に単斜輝石や斜方輝石斑晶を含む。石基は斜長石・単斜輝石・斜方輝石・不透明鉱物とガラスよりなる。
遠軽、清川北方の林道 ; 社名淵層中の玄武岩質集塊岩
ここでは社名淵層の隠沢玄武岩の集塊岩が観察される。集塊岩は径5〜80センチの玄武岩質火山弾を多数含有し、基質はスコリアや玄武岩礫より構成される。また、部分的にブロック状溶岩や水冷破砕を受けた玄武岩角礫を含有する。この集塊岩は水域で堆積した石英安山岩質魚海岸や砂岩を懐柔することから、浅い水域〜乾陸域での噴火・堆積作用が推定される。
太陽の丘 ; 社名淵層の酸性火砕岩
ここでは社名淵層上部層の谷本川火砕岩中の溶結凝灰岩が観察される。
谷本川火砕岩は主として石英安山岩質火砕岩よりなり、基底部に溶結相を伴う。溶結凝灰岩は層厚5〜10mで、本質レンズは1×5mm〜5×30mmと変化に富む。本質レンズの火山ガラスは少量の斜長石を含むのにたいし、基質ガラスは斜長石・石英・黒雲母に富む。含有岩片は1〜5センチの安山岩・石英安山岩・流紋岩が主で、白亜系から由来した砂岩や頁岩も含有する。 |
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